投資の意思決定において、信頼性の高い情報を効率的に収集・分析することは、常に重要な課題です。aiQのアナリストレポート自動生成ツール「Analystant」は、この課題に対し、生成AIを活用した新たなアプローチを提案します。
生成AIを用いたアナリストレポート自動生成ツール:Analystant
Analystantは、指定された銘柄に関する膨大なニュース記事を独自に分析し、重要なニュースをポジティブとネガティブに分類して要約します。そして、それらの情報を統合することで、1週間後の市場全体に対する相対パフォーマンスを予測します。

今回は、Analystantが提供する予測の有効性を客観的に示すため、バックテストの結果を3つの事例でご紹介します。
バックテストについて
バックテストでは、Analystantの予測値に基づいた以下のシンプルな投資戦略の累積成果を検証しました。
- 買い持ち(ロング): Analystantの予測値がプラス2%を超えた場合、該当銘柄を1週間保有
- 空売り(ショート): Analystantの予測値がマイナス2%を超えた場合、該当銘柄を1週間空売り
使用した生成AIのベースモデルはLlama 3です。これはテスト期間の手前でリリースされており、未来情報無しでのバックテストになっています。
バックテストの結果事例
今回取り上げた銘柄は、S&P500構成銘柄における時価総額の最上位層にあり、日々のニュースも豊富なアマゾン・ドット・コム(AMZN)と、構成銘柄においては中位層にあり相対的にニュースが少ない可能性があるヒューマナ(HUM)、ジョンソン・コントロールズ・インターナショナル(JCI)をそれぞれ、株価が下がったケースと上がったケースとして選びました。いずれのケースでも偏りなく成果を挙げられていることが以下に示されています。
事例1:アマゾン・ドット・コム(Amazon.com, Inc.)
Eコマースからクラウドサービスまで、多岐にわたる事業を展開するアマゾンは、日々莫大な量のニュースが報じられます。Analystantは、その複雑な情報の中から重要なシグナルを抽出し、予測に反映させました。以下のグラフは、2024年9月9日(月)~2025年5月5日(月)の期間で、各週の始めに取ったポジション(ロング、ショート、ポジション無し)と、その結果のリターンの累積推移を示しています。
バックテストの結果、市場や株価の推移と比べて大きくアウトパフォームしました。対象期間の前半で若干のロスがあるものの、おおむね堅調にプラスリターンを重ねています。特に、後半では下げ局面をとらえて主にショート(空売り)で大きくリターンを増やしています。予測値が「Stay(継続保有)」となるケースが少なく、的確にシグナルを捉えられていることが示唆されました。

事例2:米大手生命保険会社 ヒューマナ(Humana Inc.)
ヘルスケア業界の動向は複雑で、法規制や競争環境の変化が株価に大きな影響を与えます。Analystantは、ヒューマナに関するニュースを分析し、企業の戦略や市場の変化を予測に織り込みました。
ヒューマナの株式においても、Analystantの予測に基づく投資戦略は、市場と比べて大きくアウトパフォームしました。対象期間全体で株価は約30%ほど下落している中、ロング(買い持ち)とショート(空売り)それぞれでシグナルを捉え、大きな累積リターンが得られています。

事例3:ジョンソン・コントロールズ・インターナショナル(Johnson Controls International plc)
ジョンソン・コントロールズは、建物の設備やセキュリティといった、一見するとニッチな分野を扱う企業です。Analystantは、同社の事業に関連するニュースを正確に評価し、株価の方向性を予測しました。
バックテストでは、この予測が実際の株価変動と高い相関性を持つことが示され、専門性の高い市場においてもAnalystantの分析が有効であることが証明されました。市場や株価の推移と比べて大きくアウトパフォームしています。期間の序盤では値動きが小さい中でリターンの累積も限定的でしたが、値動きの大きい機会を着実にとらえています。期間後半で値動きが大きくなってからは、ロングとショートそれぞれでシグナルを捉え、大きなリターンに結びついています。

ベンチマークや個別株価の確認
以下のグラフでは、今回のバックテスト期間におけるサンプル米国株3銘柄(AMZN, HUM, JCI)と、市場全体を示すS&P500指数のパフォーマンス推移を示しています。上にある各銘柄のバックテスト結果と比べてみてください。Analystantの分析に基づく投資戦略がアウトパフォームできていることが見て取れます。

Analysantの今後の展望
これらのバックテスト結果は、Analystantが市場の方向性を予測する上で有効なツールであることを示しています。Analystantは、投資の効率化を支援すると同時に、レポートを通じて重要な情報の背景を深く理解するための手助けをします。今後は、以下のような機能拡張を通じて、サービス価値の向上を目指します。
- 日本株への対応: 米国株だけでなく、日本株の分析も可能に。
- 多様なデータの追加: ニュース記事に加え、オルタナティブデータなど、より多くのデータソースを組み込み。
- 柔軟なカスタマイズ: お客様が保有する独自データとの連携や、個別の投資方針に合わせたチューニングも視野に。
より効率的で精度の高い投資分析を求める方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。